副島種臣「桜花行」【資料紹介】

「桜花行」は副島種臣70歳代の作品です。書は筆力に加え、線に古淡味が増え、副島後期の味わい深い作品です。

副島種臣(1828~1905)は、明治政府の外務卿をつとめ、維新期の外交に尽力した明治の元勲です。一方で、書家・詩人としても高い評価を得ており、中林梧竹(ちく)とともに近代書道史の中で傑出した存在です。

古橋家8代古橋源六郎(ち)(のり)が副島に師事したことから、古橋懐古館は、副島の遺墨・遺品を20点あまり所蔵しています。副島が清国漫遊中に書いた詩の草稿に、中林梧竹が題を付した「遊清詩草」も所蔵しています。また、稲武町大井平公園に建つ「古橋翁之碑」は副島が原本を書いたものです。

【解読文】

已見香雲擁玉台 此花

本合在蓬莱 武陵本記

紅桃樹 願送萬桜相雑

栽 桜花行 種臣

【書き下し文】

已(すで)に見る香雲の玉台を擁するを、

此の花本は合して蓬莱(ほうらい)に在り

武陵本記す紅桃の樹、

願わくは万桜を送り相(まじ)り栽る

令和5年の企画展示「にぎたえの里ー稲武でお花見を楽しもう」では、この作品を展示しました。企画展の詳細は以下の記事をご覧ください。

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