私たちは、所蔵資料の研究活用や貸出しを行っています。
歴史や文化は、極上のエンターテイメントです。
所蔵資料の収集経緯
古橋家6代当主の古橋源六郎暉皃(てるのり)は、彼自身も幕末明治維新期の活動家の一人でした。江戸の国学者平田銕胤の門に入り、これを機に国学者や明治維新の志士たちの書画や実用書などの収集を始めました。
7代当主の義真(よしざね)、8代当主の道紀(ちのり)も、一貫した思想で意図的に収集を継続し、現在は約4万点を越える古文書をはじめ、書画、和装本、刀剣等の骨董、民具民俗資料などを多数所蔵しています。
単なる骨董・美術収集ではなく、近世から近代に向かっていく山村の将来を見据え、明治維新の精神と足跡を偲び、今を生きる人へのメッセージが込められた収集でした。
幸いにも戦災に遭遇しておらず、大きな火災は明和9年(1772)以降ほとんどなく、学術的にも価値の高い資料がまとまって現存しています。
おもな所蔵資料
古橋懐古館所蔵資料の特別利用サービス
所蔵資料の閲覧
大学などを対象として、教育研究目的のために、事前にお申し込みいただくことで、当館にて無償で所蔵資料の閲覧をしていただくことができます。
所蔵資料の複写
教育研究や雑誌書籍執筆などのために、所蔵資料の複写コピーの提供を有償にて行っています。複写コピーは紙媒体でのご提供となります。
所蔵資料の画像貸出
所蔵資料の画像データを有償でご利用いただけます。書籍や展示図録のほか、テレビ番組や広告利用等もご相談ください。
所蔵資料の貸出
博物館または美術館、これに準ずる施設、自治体、大学、教育研究機関、文化団体などを対象とした所蔵資料の有償貸出を行っています。
お申込みやお問い合わせ
お問い合わせフォームのほか、古橋懐古館の電話(0565-82-2100)でも承ります。
当館の学芸員が対応いたします。
これまでの特別利用実績
Artefactory Images
一部の所蔵資料の画像利用は、Artefactory Images様からもお申込みすることができます。
古橋懐古館の沿革
古橋懐古館は、昭和 33 年(1958)に旧 2 号館を建設し、昭和 46 年(1971)から大幅な拡張および一般公開を行いました。
1号館は総合病院として利用していた古橋家旧酒蔵を改築し、3号館は古橋家旧味噌蔵を改築しました。
平成29年(2017)に、老朽化が進行した2号館や古橋家旧本蔵を解体し、新しい収蔵庫を建設しました。
平成30年(2018)11月をもって一般公開を無期限休館とさせていただきました。
新設した収蔵庫を核として、所蔵資料の整理・保存・活用に一層注力をしています。
展示紹介
過去の特別展・企画展の一覧
過去の特別展・企画展(クリックで開きます)
年度 | 特別展 | 企画展 |
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昭和41~44年 | 国学者 儒学者 | |
昭和45年 | 元田永孚展 | |
昭和46年 | 副島種臣展 | |
昭和47年 | 学制100年展 | |
昭和48年 | 能書家展 | |
昭和49~50年 | 勝海舟をめぐる人々 | |
昭和51年 | 興農の人々 | |
昭和52年 | 歴史画展 | |
昭和53年 | 副島蒼海展 | |
昭和54年 | 近代の書展 | |
昭和55年 | 明治大正の書展 | |
昭和56年 | 近世能書家展 | |
昭和57年 | 副島蒼海と中村梧竹 佐々木哲太郎展 | |
昭和58年 | 小野湖山展 | |
昭和59年 | 水戸藩総覧 | |
昭和60年 | 大楠公650年記念展 | |
昭和61年 | 近世能書展 | |
昭和62年 | 明治大正の書展 | 二宮尊徳生誕200年記念展 |
昭和63年 | 扇面書画展 | 記紀伝承の神話 |
平成元年 | 杉浦重剛展 | 吉祥画及び行事画展 |
平成2年 | 近世の文人雅人 親子兄弟の書画 | 竹の画 竹の歌 |
平成3年 | 明治天皇と側近 | 富士山を詠む 描く |
平成4年 | 文化文政期の文雅の人々 | 谷文晁とその流れ |
平成5年 | 明治の書展 | 狩野派 土佐派 |
平成6年 | 近世の能書家展 | 描かれた神話・伝説・物語 |
平成7年 | 尾参二州雅人展 | 花鳥画展 |
平成8年 | 梅と桜に寄せて | 渡辺小華花鳥画展 |
平成9年 | 賀茂真渕生誕300年記念 国学五大人とその門流 | 日本画各派展(1) |
平成10年 | 水戸藩の人脈 | 日本画各派展(2) |
平成11年 | 副島種臣展 | 赤穂義士展 |
平成12年 | 元田永孚展 | 戦国武将展 |
平成13年 | 本居宣長とゆかりの人々 | 三河知名人物展 |
平成14年 | 菅公1100年祭記念展 | 尾張知名人物展 |
平成15年 | 赤穂義士300年忌記念展 | 狩野派画人展 |
平成16年 | 副島種臣と知友中村梧竹 佐々木哲太郎 | 花鳥画展 |
平成17年 | 近代(明治・大正)の書展 | 日本画の諸派展 |
平成18年 | 戦国武将と甲冑展 | 愛知の大和絵画家 児島基隆展 |
平成19年 | 崋山 喜太郎絵本展 | 屏風絵展 |
平成20年 | 愛知の先人展 | 蕪村の俳画と俳人展 |
平成21年 | 散らし書きの美 | 竹を描く 竹を詠む |
平成22年 | さくらに寄せて | |
平成23年 | 梅に寄せて | 戦国武将展 |
平成24年 | 古事記編纂1300年記念 館蔵神話伝説資料 | 歌川国芳没後150年記念展 錦絵「誠忠四十七士銘々伝」及び赤穂浪士の書簡 大石内蔵助以下二十一士直筆書簡展 |
平成25年 | 世界文化遺産登録記念展示「仰ぎ見る富士山」 | |
平成26年 | ||
平成27年 | 古橋家中興の祖古橋源六郎暉皃 | 稲武をこよなく愛した芳賀登と古橋家文書研究会の五十年 |
平成28年 | 奥三河のまつりごと | |
平成29年 | ||
平成30年 | 人生儀礼と民具 | |
令和4年 | 古橋家本宅新座敷を飾る小川珊鶴雛人形コレクション展 | |
令和5年 | にぎたえの里ー稲武でお花見を楽しもう |
古橋家文書研究会
当時東京教育大学(現筑波大学)の芳賀登先生が稲武を訪れ、財団法人古橋会初代理事長の川村貞四郎(9代当主 古橋源六郎道紀の弟)と出会い、古橋家文書の調査と整理が始まりました。
昭和36年(1961)に古橋家文書研究会が発足し、以来50年以上にわたり古橋家の古文書の整理・目録編集と調査研究が行われ、古橋家は近世近代の豪農研究における代表的事例と評価されています。
主なメンバーは芳賀登(元筑波大学副学長)以下、木槻哲夫(元東京家政学院大学教授)、大濱徹也(元筑波大学教授)、高木俊輔(元信州大学教授)、長谷川伸三(元茨城大学教授)、沼田哲(元青山学院大学教授)、乾宏巳(元大阪教育大学教授)、江原絢子(元東京家政学院大学教授)、西海賢二(元東京家政学院大学教授)などでした(敬称略)。
数十冊の著作と数百本にのぼる論文が世に出され、延べ数百人もの学生が稲武を訪れました。財団法人古橋会も昌徳寮(ゼミセンター兼宿泊施設)の建設や、滞在中の食事の用意などを行って応えました。
所蔵資料の整理と管理
古橋懐古館資料集
所蔵資料を画像つきでまとめた『古橋懐古館資料集』を6巻発行しています。
古文書や書簡、写真などの未整理資料
古橋家文書研究会『古橋家文書目録』4巻に収録されている古文書は約1万点ですが、その他の古文書や書簡は約3万点以上にのぼると見込まれます。歴史学上の新出資料も多数含まれており、研究教育でのご活用が期待できます。
新しい収蔵庫
古橋家所蔵資料は、かつては土蔵である古橋家本蔵に保管されていました。
平成29年(2017)に、古橋懐古館旧2号館を解体した上で新しく鉄筋コンクリート造の収蔵庫を建設し、所蔵資料を将来にわたり安全で健全な状態で引き継ぐという責任を果たすことにしました。
専門業者の監修により、温度と湿度を24時間管理するシステムやケミカルフィルターを備えた収納室も用意しています。
収納にあたり棚番号とデータベースを対応させ、古文書の収納には中性紙箱を用いることを原則としています。