「古橋家本宅新座敷を飾る小川珊鶴雛人形コレクション展」を開催しました
「古橋家本宅新座敷を飾る小川珊鶴(おがわさんかく)雛人形コレクション展」を令和4年4月1日(金)から4月3日(日)に開催しました。稲武(現愛知県豊田市)の地元の方々、そして豊田市内、名古屋市、県内県外からたくさんのお客様にお越しいただき、大好評でした。
高松宮殿下が御宿泊された古橋家本宅新座敷
古橋家本宅新座敷は明治末頃に建築され、1953(昭和28)年11月10日の高松宮殿下の御宿泊のために改装しています。
これまで公開したことは無かったため、地元の方からは「始めてこの座敷に入れた。来て良かった。」といった感想をいただきました。また、「子どもの頃、まだ先代の源六郎さん(古橋源六郎道紀[古橋家8代目当主])がご存命の時、よくこの庭で遊んでいたので、懐かしかった」という声もいただきました。
草木萌動-春の稲武
稲武の厳しい冬が過ぎて、春霞がたつ山を望む格調高い座敷に、小川珊鶴さんが雛人形やお花によって鮮やかな彩りを演出されました。
雛人形コレクション展
里帰り雛の説明については、こちらの記事をご覧ください。
里帰り雛の両脇の桜と橘は、稲武でいなぶまゆっこクラブが生産した繭から作っています。
花道家・小川珊鶴(おがわさんかく)
1959年名古屋市生まれ。名古屋芸術大学美術学部日本画科卒業。「平成芸術花院」主宰。
幼少より伝統文化に親しみ、池坊教授免許・表千家教授免許・赤堀流名取などを修得。生け花のお稽古や出稽古のほか、徳川美術館や御園座などでの花会やパフォーマンスなどの実績多数。
珊鶴さんの花の世界は、従来の「生け花」を展示する「花展」のスタイルに留まらず、花を生ける空間を、総合的な芸術空間に創り上げることを実践されてきました。
今回も古橋家本宅新座敷の空間を、雛人形・書画・着物・帯、そして生け花で飾り、格調高い「桃の節供」として演出することで、日本の五節供文化を伝えています。
古来より桃の木は聖なる木、桃の果実は邪気払いの力があるとされ、桃の花を行事に用いるようになりました。
今回、珊鶴さんは樹齢百年以上の桃の老木を使って、桃の花、梅の花、餅花、桜などを加え、「春の稲武」と名付けて大きな生け花を創りました。来場者されたお客様の多くは、ここで紀念写真を撮影されていました。
古橋家本宅新座敷を真行草から読み解いた雛人形展示
日本の諸芸道は、「真(しん)」「行(ぎょう)」「草(そう)」という価値概念で表現されることがあります。
もともとは書道において、真書は最も格式高く楷書で正格を表し、草書は最も形を崩した風雅な書体、行書はその中間という考え方があり、それが茶道や庭園、建築様式にまで拡張されていきました。
今回会場の古橋家本宅新座敷も、各部屋が真行草で特徴づけられていました。
日本においては、この真行草は優劣のような単なる序列を示すのではなく、特徴や機能を示すと認識することが興味深いです。
高貴な人と面会する真の部屋と、竹などの素朴な素材で仕上げた草の部屋は、それぞれに趣や美しさがあり、今回の雛人形展示は、それぞれの特徴を生かした演出となっています。
真の部屋
行の部屋
草の部屋
小川珊鶴さんの生け花
開催記録
開催した3日間で合計425名ものお客様にお越しいただきました。
稲武の地元のお客様は約1/3ほどで、大半の方は遠方よりお越しいいただき、厚く御礼申し上げます。
お客様からのメッセージ
お客様にアンケートをお願いさせていただき、以下のようなメッセージをいただきました。
すばらしいおひな様、お花、そして古橋家の御宅すべてが相まって、心に響きました。歴史の重みとともに、人の想いや願いを肌で感じられ、今回来ることができて本当に良かったです。今後も楽しみにしております。
貴重な機会、先生のお話も伺う機会となり、幸運でした。今後もかけがえのない文化、芸術、風習等を維持公開して頂けると嬉しいです。その苦労を思い、感謝です。有難うございました。
古橋家の雰囲気とよく合っていて良かったです。色々なおひな様があって、特に顔の丸いのはとてもかわいかったです。里帰りびなの両側に飾ってあった繭の花が素敵でした。
「古橋家本宅新座敷を飾る小川珊鶴雛人形コレクション展」開催概要
日 時 | 2022年4月1日(金)~ 4月3日(日) 午前10:00~午後4:00 |
場 所 | 古橋懐古館敷地内 古橋家本宅新座敷 (ポスター看板が目印です) 愛知県豊田市稲武町タヒラ8番地 ※古橋懐古館の駐車場をご利用ください。 ※詳しいアクセスはこちらへ |
入場料・申込み | 入場料無料で事前申込み不要です。 入退室も自由です。 |
お問い合わせ | 一般財団法人古橋会 古橋懐古館 0565-82-2100 |
おわりに
古橋懐古館を無期限休館にして以来、お客様との接点がつくれていませんでしたので、貴重な出会いがたくさんありました。
新座敷の京間畳、本聚楽壁、出書院の「雲居の鶴」など、昭和28年(1953)に高松宮殿下をお迎えするための意匠を改めて実感し、お客様に喜んでいただけるための工夫を今後も追求していきたいと考えています。
以下は、古橋会と小川珊鶴さんとの共同プロジェクトの実績になります。
-
養蚕と製糸
豊田国際紙フォーラムのオープニング映像作品を小川珊鶴様が「小原和紙×稲武シルク」コラボプロデュースされました
【豊田国際紙フォーラム 歓迎アトラクション「御生れ MIARE」】 https://www.youtube.com/watch?v=wh8oUbCnVoM 【PAPER TOYOTA】004_Congress_Sankaku Ogawa_Opening pe… -
古橋懐古館
八事山興正寺大茶会にて小川珊鶴様の桶茶席に特別協力しました
2021年11月27日(土)28日(日)に、織田有楽斎没後400年記念事業茶美会第1回大茶会(主催:特定非営利法人 茶美会日本文化協会)が、八事山興正寺にて盛大に開催されま…
TAP magazineさんでも紹介していただきました
豊田市の文化や芸術を発信されているTAP magazineさんでも、「古橋家本宅新座敷を飾る小川珊鶴雛人形コレクション展」を紹介していただきました。
(告知)小川珊鶴さんが「開運!なんでも鑑定団」に出演されます
令和4年5月24日(火)の『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系列)に、小川珊鶴さんが出演予定です。
また、稲武の小川珊鶴邸では、端午の節供にまつわる人形コレクション展も開催されています。大井平公園にシャクナゲ(いなぶ観光協会)が咲くこの季節に、是非稲武にお越しください。