牧野虎雄「巖石と波」【出展資料紹介】

丸帯「巖石と波」は、牧野虎雄が川村貞四郎の妻美和のために描いたものです。「巖となりて 苔のむすまて 乕」と書かれており、波に洗われる岩石を描いたものです。川村美和は、大切にしていたこの帯を、自らの金婚式に着用しました。

牧野虎雄(1890~1946)は、官展で活躍した大正・昭和時代の洋画家です。独特の「うねり」と「ゆがみ」のある作風で、他の画家達と一線を一画し、異彩を放つ存在でした。また後年には、南画の要素を油彩画に取り入れ、「日本的洋画」とも言うべき、日本人の手による油彩画を追求しました。線描を活かした簡潔で即興的な作品も得意としました。

川村貞四郎(1890~1987)は財団法人古橋会の初代理事長で、牧野の大親友です。二人は東京の日本中学校(1885年創立した東京英語学校が前身)の同期で、生涯にわたり交遊を続けました。

令和5年の企画展示「にぎたえの里ー稲武でお花見を楽しもう」では、この丸帯を展示しました。企画展の詳細は以下の記事をご覧ください。

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